ー詩を書いてみる。No.2-
Yussef Dayes X Alfa Mist - Love Is The Message (Live @ Abbey Road) ft.Mansur Brown & Rocco Palladino
即興についての即興詩 /2020年6月21日
即興(インプロヴィゼーション)。証明が不可能な、潜勢力(デュナミス)の痕跡。
或るときは、六弦上に現れる、メロディックマイナーの旋律をクロマチックに駆け上り、
或るときは、鍵盤上に現れる、ミクソリディアンの旋律を盤上の指先が現前させる。
音符は存在しない。超越的な音の世界において、亡霊のように痕跡として立ち現れ、余韻と残響を残し、蜃気楼のように消えていく。
理性で捕捉できない交響曲。身体を脱構築する八分の七拍子。時空を刻む十六連符。
ドラマーはスネアとハイハットを操り、音の軍団を指揮し、或いは挑発し続ける。
激しく成るドラムロールに苦悶の表情を浮かべながら、六弦奏者にサインを送る。
「もっとできるだろう?」。渾身のクラッシュシンバルとともに、眼光が会話する。
十六小節の恍惚。引力を生む音響空間。音像の歪み(ディストーション)。
十二フレットと二十二フレットの間に実在し得る、ありとあらゆる音の可能性。
交錯し合う音の志向性。振動する弦と指先をつたう、意識の炸裂。
確かなものはなにもなく、不確かなものだけが湧現する。
不確実性において記述される、旋律の予持、或いは予感。
即興(インプロヴィゼーション)。証明が不可能な、潜勢力による、確かな魂の証明。
Written by Daigo Matsumoto